
江戸時代、全国各地に約270家の殿様(大名)がいました。
当時、殿様の領内では、殿様と同じ家紋を使用することは遠慮されていました。よって、殿様と同じ家紋を使用している家は少数だったと言えます。
このことを逆に考えると、もしあなたの家の家紋が殿様と同じなら、
殿様と何らかの縁があるのかもしれません。
以下、各地の殿様と家紋を紹介していきます。
長野県:六連銭(ろくれんせん)
松代藩 真田氏

真田氏の家紋で有名です。六連銭紋は信濃国(長野県)北部に勢力があった滋野氏族の代表紋で、真田氏もその一族です。
他には海野氏、根津氏、望月氏、安部氏、高坂氏などがいます。
真田幸村こと真田信繁が有名です。江戸時代、徳川家康がいよいよ豊臣家を滅ぼそうと仕掛けた大坂の陣、迎え撃つ幸村は武具装束を全て赤にし決死の覚悟で徳川軍と戦います。
最後は力尽きますが、この獅子奮迅の活躍が「真田日本(ひのもと)一の兵(つわもの)」と後世まで語り継がれ、幸村人気の根元と言えます。
2016年にはNHK大河ドラマ「真田丸」が放送予定。主演の真田信繁(幸村)役に堺雅人さん、松代藩初代藩主役で信繁の兄真田信之(信幸)役に大泉洋さんなどが出演します。 今、最も話題の熱い家紋です。
宮城県:仙台笹(せんだいざさ)
仙台藩 伊達氏

初代藩主は独眼竜で有名な伊達政宗です。
戦国時代終わり頃に登場し福島県の大部分と山形県南部、宮城県南部を領する東北一の勢力となりますが、秀吉の全国統一の勢いに抵抗しがたいと判断し豊臣政権へ従います。
秀吉死後の関ヶ原の戦いでは東軍徳川家康方に味方し会津の上杉景勝と戦います。
東軍が勝利したことで徳川家康が天下を統一し、江戸幕府の外様大名として一大勢力を保ち幕末を向かえますが、戊辰戦争では奥羽越列藩同盟の盟主となり新政府軍と戦い敗れます。
戦後は北海道の開拓の為に移住。
北海道伊達市や札幌市白石区などは仙台藩士が開拓した土地です。
2009年のNHK大河ドラマ「天地人」では、伊達政宗役を松田龍平さんが演じています。
福島県:丹羽直違(にわすじかい)
二本松藩 丹羽氏

福島県二本松市周辺を治めていた二本松藩丹羽氏は、織田信長の重臣丹羽長秀の子孫で、関ヶ原の戦いでは西軍側に味方したため、一時領地を没収されますが、後に復活。
長秀の孫光重の時代に白河より二本松へ移り明治を迎えます。
2013年に公開された映画「清洲会議」では、丹羽長秀役を小日向文世さんが、ドラマ「信長協奏曲」では阪田マサノブさんが演じています。
神奈川県:上がり藤に大文字
小田原藩 大久保氏

小田原は北条氏が5代約100年間統治していましたが、豊臣秀吉に敗れた後、徳川家康が関東に領地を与えられ、要衝の地小田原へは徳川譜代の家臣大久保忠世が入城しました。
その後、忠世の子・忠隣は幕府の政争に敗れ、小田原の領地を失います。
しかし、忠隣の孫・忠朝が肥前唐津藩大久保家の養子となり唐津から再び小田原へ戻る事が出来ました。
2000年のNHK大河ドラマ「葵 徳川三代」では、大久保忠隣役を石田太郎さんが、
2011年のNHK大河ドラマ「江~姫たちの戦国~」では阿藤快さんが演じています。
また、2010年のTBS時代劇「水戸黄門」では、大久保忠朝役を近藤正臣さんが演じています。
石川県・富山県:梅鉢(うめばち)
加賀藩 前田氏

前田家は「学問の神様」「天神様」で有名な菅原道真の子孫を称していることから、菅原氏の代表家紋である梅鉢紋を使用しています。
前田利家は尾張国(愛知県)出身。織田信長に仕え、信長家臣の柴田勝家に従い、能登一国23万石を与えられます。
信長死後の後継者争いで対立した上司である勝家と足軽時代からの旧知の仲であった秀吉との間で板挟みとなります。最終的には秀吉に従い、加賀国・越中国を与えられ、豊臣政権の宿老である五大老筆頭となりました。
2002年NHK大河ドラマ「利家とまつ」では、前田利家役に唐沢寿明さんが、まつ役は松島菜々子さんが演じています。
また、2013年公開された映画「清洲会議」では前田利家役を浅野忠信さんが、テレビドラマ「信長協奏曲」では藤ヶ谷太輔さん(Kis-My-Ft2)が演じています。
滋賀県:橘、細平井桁(たちばな、ほそひらいげた)
彦根藩井伊氏

徳川四天王の一人 井伊直政は、関ヶ原の戦いでの活躍により西軍の石田三成の居城であった佐和山城を与えられます。
直政は武勇に秀でており、それを象徴する赤備えが有名です。
赤備えとは鎧や兜などの武具を朱塗りにした精鋭部隊のことで、武田の赤備えが武田家滅亡後、直政に所属したことで編成され、井伊の赤鬼と恐れられました。赤備えは他にも真田の赤備えが有名です。
2009年のNHK大河ドラマ「天地人」では長森雅人さんが、2014年の「軍師官兵衛」では東幹久さんが井伊直政役を演じています。
さらに2017年放送予定の「おんな城主 直虎」は井伊家の女当主・井伊直虎の物語で直虎役を柴咲コウさんが演じます。直虎は直政の養母にあたります。
三重県:蔦(つた)
津藩藤堂氏

初代藩主の藤堂高虎は近江国(滋賀県)藤堂村の出身で、浅井長政-阿閉貞征-磯野員昌-織田信澄-羽柴秀長-豊臣秀保-豊臣秀吉-徳川家康と何度も主君を変えたことでも有名です。
高虎の才を皆が欲しがったといわれ、有能だったからこそ成しえたことです。高虎は城郭建築の名人としても知られ、伊賀上野城や丹波亀山城などを築きました。
2010年のNHK大河ドラマ「天地人」では藤堂高虎役を一岡裕人さんが演じています。
岡山県:揚羽蝶(あげはちょう)
岡山藩池田氏

岡山は豊臣政権時代、五大老のひとり宇喜多秀家の領地でした。
関ヶ原の戦い後は小早川秀秋、その後池田氏が入城し明治維新まで続きます。
池田家宗家初代藩主池田光政の曾祖父にあたる池田恒興は織田信長の家臣で、本能寺の変の後、明智光秀隊を破り織田家重臣として織田家の後継者を決める清洲会議にも参加しています。
2013年に公開された映画「清洲会議」では人物関係や思惑が分かりやすくコミカルに描かれています。池田恒興役は佐藤浩市さんが、またドラマ「信長協奏曲」では向井理さんが演じています。
山口県:一文字に三つ星、長門沢瀉(ながとおもだか)
長州藩毛利氏

毛利氏は戦国から安土桃山時代に中国地方10カ国の大大名として君臨しました。
一族には、吉川氏、小早川氏、穂井田氏、天野氏、坂氏、福原氏など。関ヶ原の戦いでは西軍の大将として参加し、戦いに敗れたため、周防国(山口県)一国へ領地を減らされ移動を命じられます。
江戸時代は打倒徳川を胸に力を蓄え、幕末には高杉晋作、桂小五郎(木戸孝允)、伊藤博文など多くの著名人を輩出します。
ちなみに高杉家の家紋は割り菱紋、桂家は菊葉菱紋、伊藤家は上がり藤紋を使用しています。毛利家は他に沢瀉紋も使用していました。
2015年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」では、13代藩主毛利敬親役で北大路欣也さんが、14代藩主毛利元徳役は、三浦友和さんと山口百恵さんの二男 三浦貴大さんが演じています。
徳島県:丸に万字
徳島藩蜂須賀氏

初代藩主・蜂須賀至鎮の祖父である蜂須賀正勝は、尾張国(愛知県)出身で、豊臣秀吉に早くから仕え、秀吉の天下統一に大いに貢献した人物です。
正勝死後、孫の至鎮は関ヶ原の戦いで東軍徳川家康方に味方し、大坂の陣でも豊臣方からの誘いを家康に報告するなどの功により、淡路一国25万石の大名となります。
2014年のNHK大河ドラマ「軍師勘兵衛」では、蜂須賀正勝役をピエール瀧さん(電気グルーヴ)が演じています。
高知県:土佐柏
土佐藩山内氏

藩祖の山内一豊は尾張国(愛知県)出身。
織田信長に仕え、信長家臣の木下(豊臣)秀吉に従い、豊臣政権下では遠江掛川5万石を与えられます。
秀吉死後、関ヶ原の戦いでは東軍徳川家康方に味方し、その活躍から土佐一国20万石の大名となりました。
一豊の立身出世には妻・千代(見性院)の内助の功が大きかったといわれ、千代は良妻賢母の見本とされています。
2006年NHK大河ドラマ「功名が辻」では、山内一豊役を上川隆也さんが、妻・千代役は仲間由紀恵さんが演じています。
福岡県:藤巴、黒餅(ふじどもえ、こくもち)
福岡藩黒田氏

黒田氏は、播磨国(兵庫県神戸市)の出身。豊臣秀吉の軍師として有名な黒田孝高(官兵衛、如水)は、はじめ播磨国の有力豪族である小寺氏に仕え、その後織田信長に従い、羽柴秀吉の家臣となります。
孝高の息子長政は関ヶ原の戦いの活躍により筑前国(福岡県)に52万3千石を与えられました。
2014年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」では、黒田官兵衛役に岡田准一さん(V6)、黒田長政役には松坂桃李さん、官兵衛の父親黒田職隆役は柴田恭兵さんが演じています。
鹿児島県:丸に十字
薩摩藩島津氏

島津氏は鎌倉時代に薩摩・大隅・日向の守護職に任命され、それ以降明治維新まで約800年の長期に亘りこの地域を治めてきました。
十字紋は文字紋の一種ですが、その形から轡(くつわ)紋や久留子(くるす)紋とも混同されることがあります。
一族には山田氏、伊集院氏、川上氏、新納氏、北郷氏などがいます。
幕末には西郷隆盛、大久保利通、小松帯刀などを輩出します。
ちなみに西郷家の家紋は抱き菊の葉に菊。大久保家は左藤巴。小松家は抱き梶の葉を使用しています。
2008年NHK大河ドラマ「篤姫」では、薩摩藩11代藩主島津斉彬役を高橋英樹さんが、篤姫の兄・島津忠敬役を岡田義徳さんが、父・島津忠剛役を長塚京三さんが演じています。